【山奥ニートまとめ情報 – 前半】特集!

job life

「山奥ニートってなんか良さそう、もっとリアルな情報を知りたい。」

山奥ニートとは?

「山奥ニート」とは、和歌山県の限界集落で半共同生活を行う人たちの集まり。収入源はブログや地域のお爺さんお婆さんのお手伝いをしてお小遣い稼ぎ、生活費用を最低限に抑えた生活をしている。その中に普段の私たちの生活にはない豊かさを感じられる生活。著書『「山奥ニート」やっています。』の著者、石井あらた氏についてのお話です。

はじめに「山奥ニート」という言葉を聞いたことのない人はこちらから読んでみてください!山奥ニートについて

この記事を読んでわかること

  • 山奥ニートの日常、ワンシーンが記載されています
  • 前半、後半の2記事で内容がわかるようにまとめてあります

この記事の目次

  1. 山奥ニートまとめ情報 その①【なぜ山奥でひきこもるのか】
  2. 山奥ニートまとめ情報 その②【最寄り駅は車で120分】
  3. 山奥ニートまとめ情報 その③【田舎に移住するといじめられる?】
  4. 山奥ニートまとめ情報 その④【田舎の激安シェアハウス】
  5. 山奥ニートまとめ情報 その⑤【月1万8000円で生きていく山奥ニートの支出】
  6. 山奥ニートまとめ情報 その⑥【月1万8000円で生きていく山奥ニートの収入】






山奥ニートまとめ情報 その①【なぜ山奥でひきこもるのか】

山奥ニートの一日

山奥ニートの一日は、午前11時くらいから始まる。午前中は就寝時間だ。
起きたら教室くらいの大きさのリビングに行く。この建物は、もとは小学校の分校でリフォームしたもの。
昼ごはんは支援で送ってもらったパスタを食べることが多い。近くに飲食店はなく、自炊しなければご飯を食べることはできない。料理を作ってもらった人は洗い物をするのが暗黙のルールとなっている。

昼食を終えると、ギターを弾いたり、鶏を散歩させたり畑の水やりをしたりして日中を過ごす。
日が傾くと誰かが全員分の晩ごはんを作る。完成するとグループチャットで連絡する。作りたい人がいない日は各自で晩ごはんを済ませる。晩ごはんを済ませると、リビングに来た人でお酒をのんだり、映画を見たり、ボードゲームで遊んだりする。自由のため何日も顔を合わせない人もいる。お風呂はシャワーで済ます人がほとんどで、空いてるときに順番に入る。
眠りに入るのはだいたい深夜3時。リビングで朝までマンガを読んでいる人もいる。
明日の予定はない。朝起きてから決めよう。

何もない一日は、川に行って泳いだり、プロジェクターを開いて映画を見たり、対戦ゲームで徹夜したり、から揚げを何キロも揚げて食べまくったり。
山奥に住んで5年。15人の同居人。15人いるとなんでもイベントになる。
歳を取ると一年が早く進むというが、小学生のときと同じ密度だ。
山奥だし、ニートだし。だけど全然退屈しない。もし退屈なら集落を一周すればいい。500メートルも歩けば、誰かに呼ばれる。

「山奥ニート」のリアル#1 なぜ僕らは山奥でひきこもるのか|本がすき。

山奥ニートまとめ情報 その②【最寄り駅は車で120分】

住む人がひとりもいなくなった消滅集落をいくつか通り過ぎた先に拠点となる五味(ごみ)集落がある。
山の懐に抱かれた、谷川のほとり。日本でも有数の地図の空白地帯。
とはいえ何もないわけではない。
途中にあるダムはバスフィッシングの名所として知られていて、休日はボートに乗って楽しむ釣り客をよく見る。

確かに交通の便は悪い。最寄り駅まで車で2時間。といっても、普通の道を運転するのではなく。一番近い信号までも1時間は、自家用車がすれ違うのがやっとという山道。
夜のドライブは必ずというほど、動物に出くわす。シカ、イタチ、ウサギ、イノシシ、ハクビシン。
夏は湿気こそ高いが、川から清涼な風がくる。冬でも雪が積もることはなく、寒暖の差が少ない。過ごしやすい気候だけど、唯一気になるのが台風や前線の影響で雨が多いこと。

街での運転は常に標識を意識しながら他人に迷惑にならないように運転を心がける必要がある。だけど、山奥での運転は、大海原を進む船のようにハンドルを右左と豪快に回して楽しい。
ただ、対向車が来たときは、バックしてすれ違えるところまで戻らなければいけない。戻れば感謝の意としてクラクションを鳴らされ、少し得意な気持ちになる。
初めは単に家賃がかからない場所として山奥に住み始めた。でも今じゃ、山奥の素敵なところを、こうやっていくつも挙げられるようになった。

「山奥ニート」のリアル#2 最寄り駅から車で120分、だがそれがいい|本がすき。




山奥ニートまとめ情報 その③【田舎に移住するといじめられる?】

この集落は自分たちを抜いたら平均年齢80歳を超える人口5人の集落だ。
田舎に移住すると地元の人に嫌がらせを受けたり、村八分にされたりしたという話を耳にする。いじめまではいかなくても、新参者は面倒な役を押し付けられて、使いっ走りにされるらしい。
だけど、幸か不幸か、僕らがこの集落に来たときにはすでにほとんどの共同体としての体を成していなかった。皆が顔を合わせるのは年に2回の寄り合い程度。

話を戻すと、集落には5人住んでいるけど、その5人同士も会うことはほとんどない。だからか、僕が散歩をしていると嬉しそうに声をかけてくる。しかし、方言が強かったり、耳がとおかったりで半分くらいしか話が耳に入ってこない。でも、お爺さんお婆さんと話すのは嫌いじゃない。街の社交辞令の会話ではなくて、山奥での会話は実用的だ。あそこの栗は拾っていいだとか、あの農作物は値段が上がっているから植えたほうがいいだとか、いろいろなことを教えてもらえる。

山暮らしは災害と隣り合わせ。毎年、台風の季節になると、土砂崩れで道が遮断、停電も起こる。そんなとき、お年寄りが対処できなければニートとはいえ、若者として戦力になれれば。
ある日、お爺さんがハンドル操作を誤って谷に落ちてしまった事故があった。気づいた頃には警察やレッカーもいたが、呼んだのはうちの住人だった。うちらニートは怪我の治療や車を引き上げる技術はないけれど、全くなにもできないわけじゃないと、このとき思った。

僕らは集落に対しても、何もしない。地域おこしをしようとも思わないし、変革を起こしたいわけでもない。僕らはただ平和に暮らしたいでだけ。僕らニートはお爺さんお婆さんからしたら赤子同然。だから思い切って甘える。そうやってお世話になっているうちに、この山暮らしに少しずつだけど、詳しくなっている。先輩山奥ニートが後輩山奥ニートに地元の人の受け売りを話していることがある。こういうのを見ると、これが村の本来の姿なのかな、なんて思ったりする。

田舎に移住する前には事前に、村の状況や以前に移住したひとがいる場合、繋がっておくといいと思う。

「山奥ニート」のリアル#3 田舎に移住するといじめられるって本当?|本がすき。

山奥ニートまとめ情報 その④【田舎の激安シェアハウス】

山奥ニートは一種のシェアハウスだ。現在、住人は10〜30代の15人。今のところ1人1部屋、個室がある。使っていない台所や脱衣所に住んでいる人もいるので個室と呼んでいいのかは微妙なところ。山奥ニートは3軒の建物に住んでいる。小学校の分校に10人、職員宿舎に4人、集落内の一軒家に1人という構成。小学校の分校には40畳のリビングがあり、人が集まるときはそこに集まって映画をみたり、ゲームをして遊んでいる。そこにはテーブルが2つ、こたつが2つ、ソファが3つ。風呂とトイレはトイレが小便器1つ、個室が2つ。
ここまで部屋の構成などを紹介したが、どんな条件でも1ヶ月に払う家賃は変わらない。というのもここに住む場合、「家賃はゼロ円」。無料だ。

東京でこの広さに住んだらいったい家賃はどのくらいかかるのだろう。家賃というのは一体なんなんだろう。眠るためのだけの場所にお金がかかる。家賃は収入の1/3が妥当という言葉を聞いたことがある。つまり、労働時間の1/3は家賃を払うためにある。週5勤務なら月・火曜日は寝所の確保のために働かないといけないということ。でも山奥ならタダ。考えようによっては、月に100万円の儲けがあるのと同じだ。僕らはニートだけど、山奥に住むことによって、部分的には都会のセレブに似た生活を送っている。物理的な広さはそのまま精神的な余裕に繋がる。

ゆるい繋がりでみんなが暮らしている。友達と呼べるほど、親しい間柄ではない。住人から連帯保証人になってくれと頼まれたら、絶対なりたくない。かといって、赤の他人ってほど警戒しているわけでもない。僕らは明文化されたルールはないけれど、長く住んでいるにつれて暗黙の了解みたいなのは形成されてきた。いくつかあげると、月に数回夕食を作る。半年に一度、全員で大掃除をする。集落の行事には参加する。ぱっとはこんなもんだ。家賃が無料なんだから、家事くらいして当然、そんな共通認識があるんじゃないかな。

遠くから見た僕らの家は、背後にこんもりと広がる山からしたら、本当に小さな存在だ。この山が身震いひとつしただけで、土砂と倒木の洪水に流されてしまう。山奥に住んでいると、どうしても自然を意識せざるを得ない。この自然という絶対に敵わない相手がいるから、山奥ニートの中では喧嘩がほとんど起こらないんじゃないか。そう思う。

「山奥ニート」のリアル#4 田舎の激安物件でシェアハウスを始めたい人へ|本がすき。

山奥ニートまとめ情報 その⑤【月1万8000円で生きていく「山奥ニート」の支出】

「お金はどうしてるんですか?」これが答えるのが難しい質問。というのも、街で暮らす人と山で暮らす僕らでは、お金の捉え方が違う。街に住む人にとって、お金は命に等しい。お金がなければ生きていけないと思っている。ところが山に住むと、別に生きるだけなら必ずお金がいるってわけじゃない、と気づく。いざとなれば山に食べられるものがるし、雨露をしのげる場所も見つけられるし、無料でできる遊びがたくさんある。この認識が違うから、収入の話だけをしても納得してもらえないことがある。

まず山奥ニートの支出1ヶ月1万8000円について話そう。僕らは月に1人1万8000円徴収して、それを食費、光熱費、通信費、その他すべてに充てる。生きるだけなら、これ以外のお金はいらない。実際、僕はこの徴収のときくらいしか財布を使わないから、毎回どこに置いたか忘れかけて焦る。ただ現実には、この日本で暮らしていくには保険料や税金などでこれよりも少し必要になる。せも、収入が少なければ、健康保険も税金もそれほどかからない。僕の年収は約30万円。だから、所得税もかからないし、健康保険も月に1500円程度。お菓子やお酒なんかの嗜好品は個人で買うことになっているから、そういったものが好きな人は自腹だ。それでも、多めに見積もっても月に3万円もあれば余裕に暮らせる。水道は山から湧き水を引っ張っているからほとんど無料。

僕らは共有の車として軽トラ1台、その他3人が車を所持している。買い物はこのどれかでいく。町に用事のある人は同乗して買い物を手伝う。町までのガソリン代は往復800円ほど。山奥でひとり暮らししていたら、これが大きな負担になるかもしれない。僕らは15人で暮らしているから、買い物のためのガソリン代を全員で割ることができる。15人いることはとても大きく、ひとりひとりが得意料理を月に2度作るだけで毎日おいしいものが食べられることになる。山奥の住人には、ここに来るまでお米を研いだこともない人もいるくらいだ。自分っで料理できるようになると、食費が安く済むだけではなく、僕らニートに一番不足しがちな自信という栄養素を取ることができる。自分が作ったおかずを、みんな我先と食べるのを見ると、自分にも存在価値があるのだと思える。

ちなみにアーリーリタイア先として人気のあるタイのひとりあたりの家賃支出の平均は1ヶ月2万4600円(Thailand Household Expenditure per Capitaより。)これは現地の人の生活費の平均なので、日本から移住した場合は基本的にはこれより高くなるだろう。物価の安い海外に住むより、日本の山奥で暮らしたほうが安い。日本は治安もいいし、インフラも整っている。働きすぎなければ日本はいい国だと思う。

「山奥ニート」のリアル#5 月1万8000円で生きていく「山奥ニート」の支出|本がすき。




山奥ニートまとめ情報 その⑥【月1万8000円で生きていく山奥ニートの収入】

集落のお爺さんやお婆さんのお手伝いなどをしてお小遣いを稼ぎ、なるべく働かずに生きていくことを実現している。
必要なお金が少なければ、稼ぐ方法はいくらでもある。月に2〜3万なら意外となんとかなる。
最初は、「花切り」の仕事を村の人に紹介してもらい、金額は収穫の出来高によって変わる。出来高制はニートの性に合っていて、やる気がなくても怒られず、稼げず、やる気を出せば稼げるからだ。

そんなこんなで、紀州梅の収穫の手伝いやキャンプ場の掃除、パソコン一つでの文字起こし、今はブログの収入で生活している。近いうちに海苔の販売をやってみたいと考えている。
15人で住んでいる今でも、仕事が多すぎて断ることがあるくらい回ってくる。過疎集落では「若い」というだけで貴重な人材になる。
お爺さんお婆さんからしたら、孫が手伝ってくれいるという感覚の人が多く、仕事をしている気がしない。休憩もたくさんある。
考える暇もないくらい忙しい街のアルバイトとは、まったくの別物だ。

「山奥ニート」のリアル#6 月1万8000円で生きていく「山奥ニート」の収入|本がすき。

    合わせて読みたい記事

    山奥ニートの日記

    【山奥ニート的な生き方】石井あらた氏
    和歌山県の山奥で石井氏らが送る共同生活についてつづっています。

最後まで読んでいただきありがとうございました!
↓応援頂けると嬉しいです!

生活・文化ランキング

自己啓発ランキング